コロナ禍や自粛生活などの「環境の変化」により、多くの人が将来への不安を抱え、「大きなストレス」を感じています。
ストレスを溜め込みすぎると、体調を崩したり、うつなどのメンタル疾患に陥ってしまいます。
19万部を突破した『ストレスフリー超大全』で、著者の精神科医・樺沢紫苑氏は、ストレスフリーに生きる方法を、「科学的なファクト」と「今すぐできるToDo」で紹介した。
「アドバイスを聞いてラクになった!」「今すべきことがわかった!」と、YouTubeでも大反響を集める樺沢氏。そのストレスフリーの本質に迫るーー(この記事は2020年8月8日付け記事を再構成したものです)

好意の1対2対7の法則

人から嫌われたくない人は、多くいることでしょう。
「誰からも嫌われたくないか」と質問したある調査によると、42%が「はい」と答えました。特に20代女子では嫌われたくない傾向が強く、54.6%にも及んでいます。その対処法について説明していきましょう。

次の一節を、初めて読んだとき、私はドキッとしました。

10人の人がいるとしたら、そのうちの1人はどんなことがあってもあなたを批判する。あなたを嫌ってくるし、こちらもその人のことを好きになれない。そして10人のうちの2人は、互いに全てを受け入れ合える親友になれる。残りの7人は、どちらでもない人々だ。
―(ユダヤ教の教え、『嫌われる勇気』より)

私の経験でも、SNSのネガティブなコメント1に対して、好意的なコメントは2倍以上あり、そして7割ほどはコメントせずにただ読むだけの「サイレントマジョリティ」であると感じていました。

「嫌い1、好意2、中立7」。これを「好意の1対2対7の法則」と呼びましょう。この「サイレントマジョリティ(物言わぬ多数派)」は、積極的な意見は出しませんが、自分をフォローしている人たちです。だから、明らかに好意です。「中立」は、「プチ好意派」と考えてよいのです。

すると、あなたを嫌い、批判する人が1人いる場合、あなたを応援している人は9倍もいるわけです

精神科医が教える「あなたを嫌う人の9倍、あなたを応援する人がいる」Photo: Adobe Stock

職場の人間関係に当てはめよう

「好意の1対2対7の法則」は、あなたの周囲にも当てはまると思います。
職場に20人いるとしたら、あなたを嫌う人は2人くらいで、親しい人が4人という数字になるのではないでしょうか。
いろいろな性格や考え方の人がいます。あなたと気の合う人もいれば、気の合わない人もいる。それは、当然です。「全員と気が合う」ということもなければ「全員と気が合わない」ということもありません。

そんな状況の中で、「誰からも嫌われない」とか「全員と仲良くする」というのは不可能です。あなたを嫌う人の2倍、好意的な人がいるし、まったく嫌っていない人がその7倍もいるのです

たった1人からの誹謗中傷を受けて、SNSの投稿をやめてしまう人がいます。しかし、その9倍の人たちが、あなたの投稿を楽しみに待っているとすると、とても残念なことです

あなたは「嫌いな1割」の人に迎合することを優先し、その他の人を犠牲にするのですか。それとも、あなたのことを大好きな2割の人を大切にして生きますか。どちらが幸せに生きられるかは歴然としています。

「1対2対7の法則」をイメージするだけで、「自分には味方がいる!」ということが明確になり、勇気が湧いてくるのです

樺沢紫苑(かばさわ・しおん)
精神科医、作家
1965年、札幌生まれ。1991年、札幌医科大学医学部卒。2004年からシカゴのイリノイ大学に3年間留学。帰国後、樺沢心理学研究所を設立。「情報発信を通してメンタル疾患、自殺を予防する」をビジョンとし、YouTubeチャンネル「樺沢紫苑の樺チャンネル」やメルマガで累計50万人以上に精神医学や心理学、脳科学の知識・情報をわかりやすく伝える、「日本一アウトプットする精神科医」として活動している。
最新刊は『精神科医が教える ストレスフリー超大全』(ダイヤモンド社)。シリーズ80万部の大ベストセラーとなった著書『学びを結果に変えるアウトプット大全』『学び効率が最大化するインプット大全』(サンクチュアリ出版)をはじめ、30冊以上の著書がある。

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