その時々の状況に応じて柔軟に行動することが大事だと頭では分かっていても、行動に移すのはなかなか難しいものだ。適切な行動を取るために、日ごろからどのようなことに気を付ければよいのだろうか。レストランでの出来事をきっかけに考えてみた。(モチベーションファクター代表取締役 山口 博)
満面の笑みの挨拶が逆効果に
「臨機応変な対応」は難しい。あるとき、レストランで食事をしようとしたところ、本日のお品書きのメイン料理に苦手な食材が使われていることがわかったので、できれば別の食材に変えていただくようお願いした。
ウエーターは厨房に伝えますと言ってくれたが、その料理が出る直前になって、「残念ながら変えることはできないので、メイン料理をなしにするか、苦手な食材をそのまま出させていただくか、どちらかになります」と言われた。
悪いことは続くもので、料理が出てくると、その中に人の毛と思われるものが混じっていた。ウエーターに確認してもらい、出し直していただくように丁重にお願いした。戻ってきたウエーターは、「毛を取り除き、消毒して参りました」と言いながら、盛り付け形状が寸分変わらぬ同じ皿をお持ちになった。
そんな出来事がありながら食事を終え席を立とうとしたら、別の店員が近づいてきた。するとその方は、私のほうを見て満面の笑みで「お食事を楽しんでいただけましたでしょうか」と声高らかにおっしゃった。私は上記のような出来事を体験した直後だったので、言葉に窮した。なんとも、木で鼻をくくったような、慇懃(いんぎん)なご挨拶に聞こえてしまったのだ。