――WSJの人気コラム「ハード・オン・ザ・ストリート」
***
株価が戻ってきた。
S&P500種株価指数は2月末から3月末にかけて30%超下落したものの、その後、最高値まで約4%の水準にまで回復した。テクノロジー銘柄中心のナスダック総合指数はさらに好調で、ここ数週間で最高値を更新した。新型コロナウイルス危機が企業の利益にもたらしたダメージとは一致しないように思えるが、投資家は苦境の先にある正常回帰に注目していると解釈することもできる。
実際のところ、この解釈にはもっともな面もある。だが過去の景気後退期(リセッション)には投資家がこれほどの先見性を発揮したことはなかった。
企業は先月から第2四半期決算を発表しているが、内容は芳しくない。リフィニティブによると、S&P500種指数構成銘柄企業の業績は現段階で前年同期比約34%の減益と予想されている(事業再構築費用などの一時的項目を除く)。これは金融危機に見舞われた2008年第4四半期以降で最大の減少率だ。アナリストの予測では増益は来年第1四半期以降、利益が2019年の水準を本格的に上回るのは2022年以降になるという。しかもここでいうアナリストとは、過度に楽観的という評判のウォール街のアナリストだ。
ただ現実がアナリストの見方より悪くても、新型ウイルスが業績を直撃したわりには株の本来価値はそれほど下がっていないと言えるだろう。株価は企業が数十年間で生み出す予想収入を反映するものだからだ。利益が1~2年半減しても、すぐに通常の水準に戻れば、株の本来価値の下落率は5%程度にとどまるかもしれない。