中国のネット販売業者に絡み、不正行為の実態が浮かび上がってきた。種子入りの不審な郵便物が全米各地で見つかった問題について、米政府が電子商取引(eコマース)の詐欺に関連しているとの見方を示したためだ。
米農務省は「中国が送付元とみられる不審な種子入り郵便物」は、ブラッシング詐欺の一環である可能性が高いと指摘した。ブラッシングとは、売り手やその共謀者が軽量な廉価品を入れた小包を送付して架空の売り上げを計上するとともに、高評価の虚偽の顧客レビューを書き、出店業者の販売押し上げを狙う詐欺の手口だ。
アマゾン・ドット・コムをはじめとするマーケットプレイス(仮想商店街)の運営会社は過去10年、中国のメーカーや販売業者と契約して、米消費者への直接販売を可能にした。だが、専門家や同業の売り手などからは、こうした中国の出店業者がブラッシングなどの不正な販売行為に及んでいるとの指摘が出ている。
今回の不審物の問題を巡っては、米国だけでなく、世界の政府当局者も警戒を強めている。米国では州・連邦当局者が、外来種を拡散する、または植物の病気をもたらしかねないとの懸念から、小包を受け取った国民に種子を植えないよう呼びかけている。
eコマース関連のコンサルティング会社シグナリティクスの責任者ハワード・タイ氏は、種子の送り主が誰かは分からないが、詐欺を指揮した犯人が見誤り、ここまで警戒を招くとは想定していなかった可能性があると指摘する。