黒田東彦・日銀総裁就任後10年間の実質GDP
成長率の年平均見通し

0.7%*2020~22年度については日本銀行の「展望レポート(7月)」の見通しを採用
出所:内閣府「GDP統計」、日本銀行「展望レポート」2020年7月 

 新型コロナウイルス感染症の緊急事態宣言の解除を経て、日本経済は最悪期を脱したようだ。ただ、日本銀行の見通しによると、コロナ危機前の水準に戻るのに2年はかかる。コア消費者物価(生鮮食品を除く総合指数)は、今年度下落の後に上昇に転じるが、来年度はわずか0.3%だ。下振れリスクが大きいので、デフレ(2年連続物価下落)の可能性を排除できない。

 政策担当者がデフレを怖がるのは、1929年から33年にかけての大恐慌によるところが大だ。米国の実質GDPは約30%縮小し、消費者物価は2年連続で約10%下落、失業率は約25%まで上昇した。日本がデフレに陥った際、物価下落と実体経済の加速度的・持続的な悪循環が大いに懸念された。