79年の東京
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空前の財政金融政策と「新様式」
“インフレの時代”は来るか

 コロナ危機を境に、何がどう変わるのかをめぐる議論が盛んだ。

 その一つに、これまで長期にわたり先進国を覆ってきた低インフレの時代が終わる、という見方がある。

 理由は大きく分けると二つあるようだ。

 第一に、現在各国で空前の財政金融政策が実施されていることだ。中央銀行のバランスシートも政府の債務も急速に膨張しており、その状態でコロナの収束とともにペントアップ需要(コロナで抑えられていた需要)が顕在化すれば、一気にインフレ圧力が高まるというわけだ。

 第二に、コロナとともに生きるための「新しい生活様式」がさまざまな非効率やコスト上昇をもたらすことだ。

 飲食や娯楽など多くのサービス業では、価格を引き上げなければ「社会的距離」と収益の両立は難しい。米中問題の深刻化もあり、効率性重視のグローバル・サプライチェーンの見直しが進めば、全般的に生産コストが上昇するという可能性も指摘されている。

 だが結論から言えば、いずれの見方も説得性に欠ける。コロナ後の時代がインフレと金利上昇によって特徴づけられることにはまずならないだろう。