囲み「英語の次は中国語か」

 中国経済の規模や成長率を考えると、なぜ英語のみとする方針を進めるのだろうか。標準中国語がグローバルなビジネス言語として英語に取って代わることはないのだろうか。その可能性はあるが、あまり起こりそうもない。その理由は2つある。

 第1に、英語は大きく先行している。中国はイギリスの植民地化の歴史を繰り返すことはできない。大英帝国は早くも16世紀に、世界の多くの地域に英語を植えつけ始めた。企業が職場で英語を採用するずっと前から、アメリカやイギリスの社会貢献活動によって英語がさらに広がっていた。

 第2に、世界の大半の国民にとって、中国語の学習はきわめて難しい。ブロークン・イングリッシュはブロークン・マンダリンよりも簡単に使える。中国語だけでなく、多くの人々に話されている言語を知っていれば、有利なことは明らかだ。しかし目下のところ、単一言語にする方針を取る場合、中国語は現実的な選択肢ではない。
 

スコフィールド素子/訳
(HBR 2012年5月号より、DHBR 2012年10月号より)
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