それどころか、人はひらめきを言葉にする時点で頭の中にある“新しい何か”を、“すでに世の中に存在しているもの”に変換しがちなのだ。つまり「概念化」によって、新しいものを生むのが難しくなることも多いのである。

 そこで「ビジュアライズ思考」である。

 頭の中に描いたものを他の何かに置き換えるのではなく、「それをそのままアウトプットする」というやり方だ。

思いついたアイデアを
言語に変換するという障壁

 新しい発明をする、実験によって新しい成果を出す、あるいは絵画や映像などで新しいアート作品を作る……といった活動は、こうした「頭の中のものをそのまま形にする」という発想がなければ実現されないだろう。

 間違ってほしくないのは、「ビジュアライズ思考」が「理系だからできる」とか「芸術家だからできる」といった限定的な思考法ではないということだ。

「どんな場合に、どんなふうに活用できるか」を知れば、これまで文系思考だけで仕事をしてきた人間にも使いこなせる思考法なのである。

 もちろん、アイデアを現実にするため人に伝えるときには、伝達手段として言語が必要になるが、ここで注目してほしいのは、その前段階である。

「新しいアイデアを考えろ」といわれたとき、アイデアを思いつくかどうかという段階より、思いついたアイデアを言語に変換する段階のほうが、大きな障壁になっているのだ。

 では実際に、「ビジュアライズ思考」でものを考えてみよう。

 たとえば、算数の問題だ。