スポーツ由来のビジネス用語、気になる語源は?ゲームセット、ダークホース…ビジネス用語の由来、いくつ知っていますか? Photo:PIXTA

どこの国でも、その国で盛んなスポーツで使う言葉が一般の会話やビジネスパーソンの間で比喩として使われることがあります。英米人の場合は、野球、サッカー、フットボール、ゴルフ、テニスなどの用語が多いようです。今回はスポーツにまつわるビジネス用語をいくつか見てみましょう。(ポリグロット外国語研究所代表 猪浦道夫)

テニスの「グランドスラム」は
ビジネスでどう使われる?

キックオフ kick-off

 キックオフはサッカーやアメフトで「試合開始」を意味する言葉でした。これがビジネスシチュエーションに応用されて「プロジェクトを開始する」の意味にも使われています。議論する際に、first of all (まずはじめに)の意味でfor a kick-offなどとも言います。

 言葉の作り自体は至ってシンプル。群動詞の kick off(蹴ってスタートさせる)に“-”(ハイフン)を入れてそのまま名詞化したものです。

ハットトリック hat trick

 日本では「ハットトリック」というと、サッカーで1人の選手が3点挙げることで知られていますが、クリケットでは、投手が3人の打者を3球連続でアウトにすることを言います。

 そして、その投手にはその技術をたたえて、帽子を授けたことからこの言葉が生まれました。なお、この場合の trick は「妙味、芸当」のこと。したがって、帽子を与えられるにふさわしい神業ぐらいの意味です。ちなみに、野球のいわゆる「サイクルヒット」も英語では hat trick と言います。

 そうした語源から、ビジネスなどで「3つの案件を連続して成功させること」を意味するようになり、さらに、契約、取引を成功させる意味で使われるようになっているのです。