英語を仕事で使う人の数は減少傾向という現実、むしろ必要な力とは

2020年東京オリンピックでの「おもてなし」に向けて、“英語ファースト”の時代が訪れている。「いまの時代、英会話ぐらいできないと」、「英語は早いうちから学んだ方がいい」と言われるが、『その「英語」が子どもをダメにする』(青春出版社)の著者・榎本博明氏は、そんな思い込みが蔓延する英語“偏重”な教育現場に警鐘を鳴らす。

実際、仕事で英語は本当に必要?

 現在、日本人は仕事上どれくらいの頻度で英語を使っているのだろうか。仕事で英語を話す機会といえば、海外支店に転勤になった場合か取引相手が海外の企業だった場合ぐらいである。

 とはいうものの、これからグローバル化が進む時代で、実際は英語の必要度がどんどん増しているのではないかと考える人も多いだろう。

 これについては、実証的なデータがある。言語社会学者の寺沢拓敬が行った調査で、「日本で実際にどれぐらいの英語が使われているか」を検証した。2002年の調査結果では、仕事で英語を「よく使う」人と「ときどき使う」人を合わせた比率は12.7%だったのに対し、2008年は13.3%と6年間でほとんど変化はみられなかった。

 さらに、「過去一年間に仕事で少しでも英語を使った」という人の比率は、2006年21.0%に対し、2010年は16.3%と、むしろ減少傾向にあるのだ。