ファーウェイはモダン層、プレモダン層、
ポストモダン層の3層を使い分けている

 前置きが長くなったが、ファーウェイは出荷台数の32%の開発を方案公司に委託している(IHS Markit調べ、2018年)。もちろんあれだけの大企業となれば、公開システムのような形態ではないとはいえ、方案公司を使えばその携帯電話の設計情報は他社に漏れることは間違いない。なにせ、スマートフォン方案公司の最大手であるウイングテックは、ファーウェイ、シャオミ、レノボなど、いくつものメーカーの開発を受注している。同じ開発者がファーウェイとシャオミの設計を手がけることは、いくらでもあるわけだ。

 なぜ、このようなことが起きるのだろうか。ファーウェイに限らず、中国のスマートフォンメーカーは、ローエンドの機種は方案公司に設計を外注することが多い。低価格機の性能は似たり寄ったりだ。限りある開発リソースを注ぎ込んだとしても、たいして差別化はできない。ならば、他社とほとんど変わらなくなってもかまわないから方案公司に外注してしまおう、その分の開発リソースをフラッグシップに投入しよう、という発想になるわけだ。

 さらに、面白いことにこの「中国式発想」は、韓国メーカーにも波及している。2017年、LG電子はウイングテックと契約し、一部機種の開発を外注した。そして、2018年には世界一のスマートフォンメーカーである韓国サムスン電子もウイングテックと契約している。ローエンドの差別化は捨てる、他社と設計情報が共有されても気にしない、という中国式の割り切りに韓国メーカーも与(くみ)したわけだ。

 ポストモダン層に位置するオープンソースだが、これにもファーウェイは積極的にコミットしている。自社で開発したOS、ソフトウェア、データベースなど多くのプログラムをオープンソースとして開放している。別に善意やポリシーで開放しているわけではない。

 オープンソースにすることによって、世界の開発者が使いやすいようにすることが目的だ。インターネットのビジネスにはネットワーク効果という言葉がある。あるプロダクトやサービスを利用している人の数が多ければ多いほど、そのプロダクトやサービスの便益が高まるというものだ。

 卑近な話だが、私たちの多くが使っている、ウインドウズというパソコン用のOSで考えてみよう。リナックスなど、別のOSでもウインドウズと同等か、それ以上の性能を発揮することは可能だ。ただし、ウインドウズのほうがユーザーは多く、プリンターなどの周辺機器やアプリケーションの種類も豊富だ。操作がわからなくなった時でも、詳しい人を見つけることもさほど難しい話ではない。利用者が多ければ多いほど、利便性が増しているわけだ。オープンソースにすることによってユーザー、開発者を増やし、自らのソフトウェアの利便性を高めようというわけだ。