死にたい気持ちから救ってくれたのは友人だった
1978年生まれ。某名門中高一貫校を経て、某国立大学医学部卒業後、医師免許取得。研修医修了後、精神科医局に入局。精神保健指定医、日本精神神経学会専門医、産業医。精神科病院勤務を経て、現在はクリニックに常勤医として勤務。2019年6月から本格的に投稿を開始したTwitter『ゲイの精神科医Tomyのつ・ぶ・や・き』が話題を呼び、フォロワー数が急増。覆面で雑誌、テレビ・ラジオ番組にも出演。舌鋒鋭いオネエキャラで斬り捨てる人は斬り、悩める子羊は救うべく活動を続けている。前著『精神科医Tomyが教える 1秒で不安が吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)は発売即、大反響となりベストセラーに。最新刊は『精神科医Tomyが教える 1秒で悩みが吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)
もちぎ:1回目のときは友人に助けてもらいました。その後、お酒を抜いて、ご飯を食べて、ぼーっとしているうちに「ああ、なんてことしてしまったんだ」と正気に戻りました。2回目のときは、友人から「死ぬ前に1週間遊ぼう」と誘われ、一緒に温泉旅行をして、飼っている猫を預ける相談をしたりしながら1週間過ごしました。
精神科医Tomy:その状況を描いた漫画が、もちぎさんのTwitterに上がっているのを読みました。
もちぎ:そのときも自殺ありきで物事を考えていて、冷静な状態じゃなかったんですけど、友人と1週間温泉に入りながら考えているうちに、「とりあえず死ぬのは違うな」って思えてきました。
だから、自殺をしたいと思ったときに、1週間は身の回りの整理をするような時間を持ったほうがいいと思うんです。自分はたまたま友人にその1週間を作ってもらったけど、自分自身で1週間を作ることもできると思います。
精神科医Tomy:あの漫画に出てくるお友だち、すごくいい人だなと思いました。何も押しつけていないけど、ちゃんともちぎさんを助けている。こういう対応ができる人って、なかなかいないと思います。すごく心に残ったんですよね。
もちぎ:自分もゲイ風俗やゲイバーで働いていたとき、自殺を考えている人を何人か見てきたんですけど、そういう人たちって「ゲイバーには来られる人」あるいは「病院には行ける人」なんですよね。現実には行動に出られない人も大勢いると思います。そういう人たちには、自分の漫画が届いたらいいなと願っています。
精神科医Tomy:実際に死のうと思っている人が、もちぎさんのストーリーを読んでけっこう救われたんじゃないでしょうか。
ボクも仕事をしているなかで患者さんの自殺に直面することがあって、すごくつらいです。令和元年の自殺者数は約2万人と10年連続で減少していますが、まだまだ多くの自殺が現実に起きていますし、自殺をしないまでも考えたことのある人はけっこういるはずです。「自殺なんてとんでもない」と目を背けるのではなく、自殺の問題について向き合うことも大事だと思います。