“売り専”のゲイ風俗とゲイバーの元従業員にして、Twitterはフォロワー58万人(2020年8月現在)を超え、すでにコミックエッセイを2シリーズ3冊、エッセイ1作を刊行する人気作家・望月もちぎさん。初の小説『繋渡り』(KADOKAWA)も刊行した。
一方、Twitter『ゲイの精神科医Tomyのつ・ぶ・や・き♡』が絶大な支持を集め、最新刊『精神科医Tomyが教える 1秒で悩みが吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)で悩める読者に“言葉の精神安定剤”を綴る精神科医Tomyさん。
Tomyさんが精神科医として患者さんの悩みに答える日々を送る一方、もちぎさんもゲイバー時代から悩み相談を受ける機会が頻繁にあった。また、Tomyさんは7年半交際したパートナーとの死別を経験し、もちぎさんは2度の自殺未遂を経験している。
そんな2人が考える「悩み」「不安」「孤独」、そして「死」とは? 難しい人生の問題に真っ正面から向き合い、とことん語り合った対談の模様を5回にわたっておおくりする。
「自殺したい」という衝動を抱えてしまったらどうする?
元ゲイ風俗とゲイバーで働いていたゲイ
ギリギリ平成生まれ。現在は学生兼作家。作家としてエッセイやコラム、小説などを手がける。取材や対談などで得た知見や、経験談などをブログやツイッターにて日々更新している。ネコチャンと6年間暮らしていた。今はネチコヤンと暮らしている。最新刊は『繋渡り』(KADOKAWA)。
もちぎ:自分は父親が自殺して亡くなっていますが、母親からは「あの人が死んだのは、あんたのせいや」って、ずっと言われてきました。そう言われても、まだ自分の物心がつかない時期の出来事です。そんなこともあって、これまであまり父親の自殺について考えてこなかったんですけど、自分自身も何回か未遂に終わりましたが自殺を図っています。自殺を図ったときは冷静じゃなく、「これしか方法がない」みたいな感覚に陥っていました。
精神科医Tomy:ある作家が「近しい人に自殺されると、まわりの人は『自分のせいじゃないか』と考えてしまいがちだけど、そうじゃなくて病気のせいなんだよ。他の病気で亡くなったり、事故で亡くなったりするのと一緒なんだ」みたいなことを書いているのを読んだことがあります。それを読んで、ボクはすごくしっくりきたんですね。
ボク自身、ジョセフィーヌを失って、うつ状態になったとき、死にたい気持ちが湧いてくるのを体験しました。そういうときって、気持ちが落ち込むのは当然として、体も動かないし、何をやっても楽しくない。いちばん困ったのは、なんともいえない気持ち悪い感じが、次から次へと起こってくることでした。
まばたきの回数が増えるとか、呼吸の仕方がわからないとか、喋っているときに舌をどこに収めたらいいのかわからないとか……。「衝動的に死にたくなるのってこういうときなのかな」と思い、電車に乗るときは飛び込んでしまいそうなのが怖くて、プラットホームの柱にしがみついたりしていました。
そんな経験をしたことで、人は何かに絶望して死ぬとか、腹いせに死ぬとか、そういう理屈だけで自殺するとは限らないと思うようになりました。もちぎさんは、どうやって自殺を回避したんですか?