米国の株式相場は過去最高値を更新しているとはいえ、経済危機を脱する兆しは見えない。20日発表された経済指標からもそれは明らかだ。第一に、米労働省が発表した15日終了週の新規失業保険申請件数(季節調整済み)は前週比13万5000件増の110万件となった。エコノミストは前週に続き減少すると予想していた。失業給付の週600ドルの上乗せ手当てが7月末で終了し、失業保険を申請するインセンティブが低下する中で申請件数が増えたことは憂慮される。だがそれ以上に懸念されるのは、2008年の金融危機後や記録に残るどの時点もはるかに上回る水準で申請件数が高止まりしているという明快な事実だ。このところの月間雇用統計では就業者数が増加したものの、多くの人々が引き続き失業状態にあり、失業保険統計からは企業が人員削減を続けていることがうかがえる。議会とホワイトハウスはこれまでのところ、多数のエコノミストが今頃までに導入されると予想していた追加刺激策を成立させられずにいる。このため経済成長が再び鈍化するリスクが高まっている。