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フリップボードが日本で本格的に事業スタート
期待先行の広告業界の一方で様子見の出版業界

【第12回】 2012年9月12日
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 ちなみに、フリップボード内の広告は、インターネット広告によく採用される成果報酬型広告ではない。「ウェブでの成果報酬型広告は、成果を上げようとするあまり、目立たせようとしてしまい、肝心の記事や写真の邪魔をすることがある。それは媒体のためにならないからだ」(アレクサンダー氏)

 日本ではまだ広告ビジネスをスタートする段階にはなく、今は公式コンテンツを増やし、フリップボードで記事を読む読者を増やす段階にある。アレクサンダー氏は「まずは出版社側との協業を進め、順を追ってビジネスを立ち上げる。新たな読者を出版社側が獲得できるようにすることが先だ。出版社の成功なしでは、われわれの成功もない。来年中には、日本でも広告ビジネスをスタートさせる」と話す。

アプリ内の広告ビジネスは
出版社にとってオイシイか

 同社は日本への本格的な事業開始に、大手広告代理店の電通とADKとパートナーを組んで、2社の力を借りて日本でコンテンツを提供する出版社を開拓している。この2社が積極的にフリップボードに関わるのは、フリップボードが雑誌広告市場の縮小を補うような、新たに広告を収納する媒体として期待しているからだ。

 すでに雑誌広告市場は急激な収縮を見せており、部数も右肩下がり。フリップボードが大きく育つことで、新たな収益源となると見ているのだ。

 実際、企業側は広告出稿へ水面下で動いているようだ。丹羽洋一・電通デジタル・ビジネス局スーパーバイザーは「すでに多くの問い合わせが、弊社とADK側に来ていて、もう少し待ってくれ、ということで対応している」と話す。アレクサンダー氏は「アメリカでは企業広告も多く出稿されており、日本でも期待できる」と自信を見せる。

 ところが、出版業界は様子見状態だ。「フリップボードと組むことで、自社で雑誌を電子化するための開発費が必要なくなる」と、フリップボードの本格上陸を歓迎する声も聞こえてくる。しかし、雑誌協会で発足しているデジタルコンテンツ推進委員会では話題になっていないという。

 本当にフリップボードが閲覧用のアプリケーションとしてスタンダードとなるのか、また広告代理店が期待するように有望な広告媒体となるのか――。雑誌業界が持つ疑問は尽きない。なかでも、雑誌を発行する出版社がもっとも知りたいことは「本当に広告が入るのか。また、広告ビジネスがスタートしたとき、売上をフリップボードと広告代理店、出版社の3社でどのようにレベニューシェアするのか」ではないだろうか。しかし、その答えは現時点では用意されていない。フリップボードの成功は、その答えにかかっていると言えそうだ。
 

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