案里被告は「大きな政治不信を招いたことをおわび申し上げます」と述べた上で「夫と共謀した事実はありません」「選挙運動を依頼し、その報酬として現金を渡したことはありません」と述べた。

 検察側は冒頭陳述で、克行被告が「案里被告を当選させるため、地元議員らになりふり構わず選挙運動を依頼した」と指摘。

 さらに案里被告の選挙運動全般を取り仕切り、連座制の対象となる総括主宰者だったと主張したが、この点について克行被告は否定。一方で案里被告は「夫が取り仕切っていたことは間違いない」と検察側の主張を追認した。

 また検察側は昨年7月の参院選で、自民党本部が2人目の公認候補として案里被告を擁立し、広島県連が反発したと説明。

 情勢が厳しいと判断した克行被告が、疎遠だったり付き合いがなかったりした人にも現金を供与していたとし、直前の4月に行われた統一地方選の「陣中見舞い」「当選祝い」の名目だったとしているが、政治資金収支報告書の記載に必要な領収書の作成も求めていないと指摘した。

 これに対し両被告側は「提供した現金は陣中見舞いなどで、自分たちの支持拡大の趣旨だった」と反論した。

 さらに、現金の提供が買収だったならば受領側も「被買収」で立件されなければならないのに、1人も起訴されていないと言及。

 検察側が有利な供述を得るため刑事処分を見送る違法な「裏取引」をしたとして、供述調書に「任意性、信用性は認められない」とし、公判を打ち切る「公訴棄却」も求めた。

新型コロナでリモート尋問

 それでは、今後の公判はどう進められるのか。

 両被告の公判は同じ法廷で、起訴から100日以内の判決を出すよう求められる「百日裁判」で審理される。

 しかし、証拠調べや被告人質問のほか、証人尋問は120人前後に上るとされ、既に12月18日まで週1~4回のペースで55回の公判が予定されている。

 証人は東京地裁の法廷に出頭するのが原則だが、大多数は広島県在住。新型コロナウイルス感染拡大の懸念もある。高齢や持病があるなど上京が困難な場合は広島地裁に出向いてもらい、東京地裁と映像でつなぐ「ビデオリンク方式」で尋問を行う予定だ。