同方式はもともと、性犯罪などの被害者を保護するために導入されたシステムだ。導入時は同じ裁判所で部屋を隔てる形の運用だったが、18年の改正刑事訴訟法で別々の裁判所でも可能になった。

 今回は特に被告側が、東京地検特捜部が取り調べた地元議員らの供述調書について証拠採用を拒否しているため、争点となっている現金供与の趣旨などを直接、尋問する必要があるため採用されることになった。

双方に突っ込みどころ

 公判の争点は、検察側の「現金供与は買収」、被告側の「支持拡大のための(統一選の)陣中見舞いや当選祝い」について、どちらの主張が認められるかとなっている。

 検察側は前述の通り、現金を受領した地元議員ら100人全員を不起訴としている。公選法は受領側も「被買収」として罪に問うよう規定し、法定刑は3年以下の懲役か禁固、または50万円以下の罰金だ。

 現金供与額は5万~300万円で、最も多かったのは建設・運輸相などを歴任した亀井静香氏の元秘書。元県議会議長は200万円、辞職した前三原市長は150万円だった。

 一般的に、選挙違反事件の被買収で起訴されるかどうかのボーダーラインは「10万円」とされる。執行猶予が付いたとしても有罪、もしくは罰金刑となった場合、公民権停止となり、議員として失職する。

 しかし今回、ほとんどの地元議員らが10万円を超える現金を受領していたにもかかわらず誰一人として立件されなかったのは、やはり不可解と言わざるを得ない。

 全国紙社会部デスクによると、検察側は建前上「無理やり渡され拒否できなかったり、すぐに返却したりしたケースがある」としているが、本音では「10万円以上を受領した関係者すべてを立件したら広島政界が混乱するし、広島地検・地裁のマンパワーでは事務的に処理は無理」という現実もありそうだ。

 しかしながら「法の下の平等」からすれば逸脱した裁量と言えるだろうし、被告側が「違法な裏取引があった」と主張するのは当然だろう。

 一方の被告側だが「統一選での陣中見舞いや当選祝い」と主張しているが、であれば政治資金収支報告書に記載が必要なのに、なぜ領収書を渡そうとした地元議員らの申し出を拒否したのか。