女性の人権を後退させる?
メディアの人事に国が手を出す?

 本計画素案には、他にも数多くの懸念が持たれている。

 まず全体的に、国際社会との関係がほとんど述べられていない。たとえば、1970年代の国連の動きとジェンダー平等への潮流や、その後の国際社会でのジェンダー平等の動きに関する記述は見当たらない。それらの国際社会での動きの中に、たとえば1985年に日本が国連女性差別撤廃条約の批准を行った事実があり、その前やその後の国内法整備・改正がある。男女共同参画基本計画も、その流れの上にある。

 本計画素案の第1部「基本的な方針」を見ると、もちろん日本の男女共同参画社会基本法に関する記載がある。ところが内容は、法の目的を述べた第1条の「男女の人権が尊重され、かつ、社会経済情勢の変化に対応できる豊かで活力ある社会を実現すること」からではなく、なぜか第2条からである。「人権」や、国際社会の中での「社会経済情勢の変化」については、「ないことにしたい」ということなのだろうか。

第5次男女共同参画計画の貧困解消策が「絵に描いた餅」に終わりそうな理由本連載の著者・みわよしこさんの書籍『生活保護リアル』(日本評論社)好評発売中

 このような「ゲスの勘ぐり」への対策は、簡単だ。男女共同参画社会基本法の第1条から、素直に言及すればよいのである。

 またメディア方面からは、「メディアで働く女性たちの地位向上を口実として、メディア企業の人事に国が介入するということ?」という懸念も持たれている(第10分野)。「それは思い過ごし」と確信できる記述はない。

 さまざまな懸念と不安を抱かせる「第5次男⼥共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え⽅(素案)」であるが、現在のところ、まだ素案だ。9月7日までは、パブリックコメントなどによって変える余地が残されている。

(フリーランス・ライター みわよしこ)