悩む女性男女共同参画の新しい指針には、生活保護をはじめ現金給付に関する記述がほとんど見当たらない(写真はイメージです) Photo:PIXTA

「第5次男女共同参画基本計画」は
女性と貧困の関係をどう考えているか

 8月1日、内閣府は「第5次男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方(素案)」を公開し、パブリックコメントを募している(9月7日まで)。

「男女共同参画」の内容は幅広い。たとえば、地域の町内会で女性が発言できて意見が反映されることを、どう保障するのか。災害時、避難所での女性の安全や生理用品の確保に、誰がどのような責任をもって当たるのか。

 このため、個別政策は11の分野に分類され、「あらゆる分野における女性の参画拡大」「安全・安心な暮らしの実現」「男女共同参画社会の実現に向けた基盤の整備」の3つに大別されている。

 女性が貧困に陥りやすい現実とその解決については、「安全・安心な暮らしの実現」の中に、「第6分野 男女共同参画の視点に立った貧困等生活上の困難に対する支援と多様性を尊重する環境の整備」としてまとめられている。

 しかも、取りまとめた「安全・安心ワーキンググループ」の4名の構成員の1人は、日本の貧困研究を代表する研究者の1人であり、貧困の現状と解消について積極的な発言を続けている阿部彩氏(東京都立大学教授)なのだ。

 大いに期待したくなる。生活保護という極めて重要な制度の拡充が述べられているのだろうか。生活保護を含め、最低所得保障を実現させるのだろうか。そして、貧困がもたらす社会課題の数々を解消する道筋が示されているのだろうか。

 まずは、内容を熟読してみよう。