中国の経済H shop, Zhongshan Road, Xiamen China Photo:Zhu Lanqing for The Wall Street Journal

【北京】中国景気が回復の勢いを増している。新型コロナウイルスの封じ込めに手間取っている他国を尻目に、世界最大の経済国である米国との差をさらに縮めつつある。

 中国全土で、飲食店やスポーツジムには再び活気が戻った。地下鉄や空港の出発ロビーは利用客でごった返している。学校再開に当たっても、米当局者が「ポストコロナ時代」に欠かせないとする制限措置のほとんどが中国では実施されない。マスクを生徒に持たせるよう依頼する学校もあるが、着用する義務はない。

 中国が厳格な抑制措置によりウイルスを封じ込めたことを受けて、JPモルガン・チェースは、中国の今年の成長見通しを4月時点の1.3%から2.5%に引き上げた。世界銀行をはじめ、エコノミストの間でも、中国成長予想の上方修正の動きが出ており、中国は今年、主要国で唯一、プラス成長を確保するとみられている。

 中国の成長率は破竹の勢いだった近年の水準には程遠いものの、米国は今年、最大で8%のマイナス成長になると予想されており、経済規模で世界トップの米国と第2位の中国との差は確実に縮まる見通しだ。

 中国は2008~09年の金融危機でも、国家主導モデルで打撃を最小限に抑え込んだ経緯があり、今回のコロナ危機で米国の市場制度よりも自国の経済運営手法が優れているとの確信を強めているはずだ。また、米国との地政学上の覇権争いが激しさを増している中で、中国指導部を勢いづかせてもいるだろう。