今回、中国が発射した「東風21D」は空母などを攻撃するため精密誘導される「空母キラー」と米国で称されている。

 だがはるか洋上を航行する空母を発見して大型商船と識別し、その緯度、経度、針路、速力を確かめるのは簡単ではない。

 偵察衛星は時速約2万9000kmで地球を南北に周回し、世界各地の上空を1日1回通る。1地点を撮影できるのは1日に数分にすぎず、移動目標の監視は不可能だ。

 偵察機や水上艦、潜水艦が空母に接近してデータを得ようとすれば反撃を受ける可能性がある。陸上のミサイル部隊にデータを送信して発射させるよりは、自分が対艦ミサイルを搭載して発射する方が手っ取り早い。

「空母キラー」の実用性には疑問があるが、敵艦が湾岸近くに来れば役に立つだろう。

米ソ冷戦時は「協定」で
「危険行為」を回避

 米海軍は冷戦時代にはウラジオストック沖などソ連沿岸で空母群が演習する威嚇行動を行っていた。

 だが威嚇された国が萎縮しおとなしくなることはまれで、相手も威嚇で応じるから、米ソの艦が互いに針路妨害をして衝突したり、武器やサーチライトを向け合ったりして、戦争のきっかけとなりかねない事件が頻発した。

 米ソ海軍当局はその危険を案じ、1972年に米ソは「海上事故防止協定」を結んで危険行為を禁じ、日本とロシアも1993年に同様な協定を締結した。

 これには照準用レーダーの照射は「危険行為」として明記されていないが、海軍同士のマナーとして自粛するのが慣行となっている。

 だが米中、日中間にはまだこのような協定は結ばれていない。南シナ海や尖閣諸島周辺海域を中国は領海と主張しているから、公海上の事件を防止する協定の交渉はかなり難しい。

原潜の「隠れ場所」確保狙う
米国は対潜水艦戦に備える

 中国が南シナ海に人工島を建設するなど支配強化に努めるのは、そこを弾道ミサイル原潜の待機海面にするため、と考えられる。