新型コロナウイルス感染症(COVID-19)予防ワクチンの開発に何らかの支障が生じても、一般市民への警告にはならない。だが、ワクチンメーカーに資金を投じている投資家にとっては、話が違ってくる。英製薬大手アストラゼネカは、コロナワクチン候補の臨床試験を一時中断した。被験者に説明できない症状が出たためと説明しており、安全性に関するデータの全面的な見直しが必要になるとしている。ただ、ワクチンの安全性や有効性に問題があると結論づけるのは時期尚早だろう。治療薬の開発プロセスでは、こうした治験の中断はよくあることだからだ。多くの被験者の中から重症に陥る人が出ることもあり得る。仮にワクチンの実用化に遅れが生じれば残念な知らせではあるが、一般市民は懸念を抱くよりは、むしろ安心すべきだ。製薬会社9社は今週、いずれ市場に出回るワクチンは、安全かつ有効であることを確認すると表明した。今回の治験中断は、製薬会社がこの誓いを真剣にとらえていることの証しだ。
コロナワクチン治験中断、市場に潜む真のリスク
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