ドラマ『半沢直樹』でおさらい
「演繹法」と「帰納法」の推論とは

 はじめに、高校の授業で習った人も多いはずの「演繹法」による推論の例を挙げます。

 大前提「新型コロナは、感染者の飛沫が自分の手指などを経由して体内に入ることで感染する」

 小前提「3日前、近いテーブルをはさんで2時間話し合いをした知人が、今日、コロナ感染者だとわかった」

 結論「よって私は、新型コロナに感染した可能性がある」

 これが、演繹法の論理推論です。論理的には明確ですが、大前提の段階で原因が解明されている現象でしか、演繹法の推論は役に立ちません。

 次に、「帰納法」による推論の例を挙げます。

「今日、マスクをして外出したら新型コロナにかからなかった。昨日もマスクで外出したらコロナにかからなかった。一昨日もマスクで外出したら大丈夫だった」

「だからマスクは新型コロナの予防になるようだ」

 これが帰納法の論理推論です。これまでの限られたサンプルから見て大丈夫だったから、今回もこれでたぶん大丈夫だろう、という推論方法です。

 日本の学校では、主にこの2つの推論方法を教わりますが、どちらもすでに何らかの解明がなされているか、経験的にそれがいいとわかっているケースにしか使えないという、欠点があります。これは論理的なビジネスパーソンの弱点でもあるのですが、演繹と帰納の2つの論理だけを武器にしていると、新しい発見は難しいものです。

 人気のドラマでも似たような例があります。『半沢直樹』のあるシーンで、銀行家が「大幅な赤字になった企業はみな、3年後には破綻しています。ですから帝国航空も破綻するはずです」と断言していました。これは帰納法論理の具体例です。

 同様に、これも『半沢直樹』の中の話ですが、「債権放棄をして新たな資本を注入すれば企業は再建できる」「今回、政府は銀行に債権放棄を要求する」「そうすることで帝国航空は再建できる」。これが演繹的推論の具体例です。