「感想としては『さもありなん』ということですね。留学してMBA(経営学修士)を取得している霞が関の若手官僚が外資系コンサルを選択肢に入れるのは想像に難くないです。また、地方公務員も地場産業や商店街、農業を支援するなどコンサル的な仕事をしてきた人なら、一般的な事業会社を含めてスキルを生かせる職場がなくはありません」

 また、インターネットの普及によって公務員の転職例が、企業と公務員の双方に伝わるようになった環境の変化も転職意欲を押し上げたと予想する。

「それこそ10~20年前は『公務員はお役所マインドに染まっている』と、採用側が公務員出身者を扱いづらいと思っていたように感じますが、ネットや転職サイトの普及などによって、公務員から転職して活躍するケースが知られるようになった。企業側は先入観をなくし、転職者側も先例を見て、踏み切りやすくなっているのでしょう」

ポストに就けない官僚は出向
激務以外にもある公務員の悲哀

 また、公務員が転職を希望する理由の一つには、業務や組織の構造的な要因がある。激務で知られる霞が関の国家公務員だが、それ以外の要因を大原氏は指摘する。

「国家公務員は、職位が上に行けば行くほどポストの数が限られています。そのため、昇進スピードが速いキャリア官僚は特に、定年退職の5~10年前は“外回り”、いわゆる現役出向をさせられるケースが多い。出世が頭打ちになる将来が見え、自分のやりたいことができないのであれば、自分の意思で早めに民間に転職したいと考えるのも無理はありません。若手キャリア官僚であれば、景気の影響を受けずに転職できる人が多かったでしょうから」

 一方で、地方公務員においても将来への悲観が転職に駆り立てている可能性があると予測する。

「少子高齢化や人口減少の最前線である地方にいると、より将来への不安が大きくなるのでしょう。10年後、自分が上司の立場になったときに状況はさらに悪化している可能性が高く、行政の経営資源(職員・財源)は減り、課題やクレームだけが倍増し、やりがいもなくなるのではないかと考える若い世代が増えても仕方ないでしょう。ただ、コロナ禍で、企業や個人事業の経営環境が激変し、公務員のありがたみが浮き彫りになりましたから、今後は割り切って職にしがみ付く傾向が強まるかもしれません」