◇相手の答を引き出す

 現役時代は名選手といわれたひとでも、指導者として名を残せるひとと、そうでないひとがいる。その二つを分けているのは、「選手個々の技能を見極め、優れた部分に焦点を当て、伸ばせるひと」か、「誰にでも自分のノウハウを押しつけ、合わない選手を潰してしまうひと」かという違いだ。指導者が厳しく自分のやり方を押しつけてきた組織では、いざ試合の際、選手たちはコーチの指示待ちとなり、立ち往生してしまう。

 コーチングとは、会話によって相手の優れた能力を引き出しながら、前進をサポートし、自発的に行動することを促すコミュニケーションスキルだ。そこには「指導」という概念はなく、コーチとその相手は対等な立場となる。相手の職業に関する専門知識も必要ない。コーチングスキルを習得すれば、どのような相手との会話でもそれを活かせるようになる。

 ひとは他人から命令されたときではなく、自分で「答」にたどりついたときに前進できる。答はそのひとの中にあるとするのが、コーチングの考え方だ。コーチの役割は、相手が答にたどり着くために、聴いて、受け入れて、質問することである。自発的にたどり着いた答に基づく行動は、命令による行動よりも、最終的に高い成果を得られる。ひとはみな条件が整えば、自分の力を最大限に発揮して、自己実現に向かうものなのだ。

【必読ポイント!】
◆コーチングのコミュニケーション
◇質問して、聴いて、受け入れる

 コーチングの大きな目的の一つは、ひとの潜在している能力を引き出すということにある。そのためには、「質問する」ことが有効だ。コーチングでは、「達成目標」をコーチに宣言する。目標を達成して成功した姿を宣言し、言語化することで、意識は成功することと深く関わりはじめ、成功のための機会に敏感になる。