近年、「自分の意見をハッキリ言えない」「ちょっと注意をしただけで、すぐに心が折れる」といった繊細な若手社員が増えています。さらに、新型コロナ禍でオンライン会議、リモートワークなど働き方が変化したことで、ステレオタイプな上司と繊細な部下の溝はますます深くなっているといいます。この先、ウィズコロナに対応した新時代の職場のコミュニケーションをあらためて見直す必要性があるでしょう。そこで今回は、産業カウンセラー・渡部卓氏の新刊『あなたの職場の繊細くんと残念な上司』(青春出版社)から、新時代の若手の力を引き出すコミュニケーション方法を紹介します。
若手社員が何も言わずに定時で「お先に失礼する」心理
先日、ある中小企業の部長が私にボヤいていました。
「いまどきの新人は、来社した顧客に対して笑顔がないんですよ。さすがによくないと思ってやんわりと注意したら、聞こえるか聞こえないかくらいの小さな声で『面白くもないのに笑えません』なんてボソッとつぶやかれて、あぜんとしました」
ボソッとつぶやいたとはいえ「面白くもないのに笑えません」と反論してしまうこの新人社員の態度は改めなければなりません。ただ多くの学生と接している私からすれば、彼は決してムッツリしていたわけではないと思います。でも、社会通念上で要求されるレベルの笑顔にはほど遠かったようです。