東京も参加する「GoToトラベル」に
低価格ホテルから不満が漏れる理由
この10月からはいよいよ東京も対象に含まれることとなり、観光業の皆さんがさらなる期待を寄せる観光支援事業「GoToトラベル」だが、一部の宿泊業からは「ぜんぜんおいしくない」という不満が漏れている。
割引額が大きくなるため、星野リゾートのような高価格帯のホテルに人気が集中してしまい、リーズナブルなホテル、特に地方のビジネスホテルは「GoTo効果ゼロ」で閑古鳥が鳴いているというのだ。
『中国新聞デジタル』(9月15日)によれば、山口の湯田温泉にあるビジネスホテルは、GoToの利用者がこれまでわずか3〜4件にとどまり、宿泊客も1日5人程度で推移。支配人はこんな恨み節を述べた。
「ふたを開けてみれば1泊が3万、5万円台の宿は盛況だが、うちはまったくで泣きそうな状態だ。もっと行き渡る支援を」(同上)
そんな悲痛な叫びを受けて、「現行のGoToだけでは不十分」「低価格帯のビジネスホテルを利用したくなるような支援も必要だ」という声も出てきている。
そのようなホテルで生計を立てる従業員の方たちの窮状を思えば、何かしらの支援を早急に進めて欲しいと個人的にも思う。が、その一方で、この分野に約1兆3500億円という巨額の税金をつぎ込んだGoToのようなバラまき的支援をするのは、かなり危うい気もしている。
確かに、このあたりを集中的に支援すれば、一時的にピンチを脱することはできるだろう。しかし、ビジネスホテルが今の業態を続けている限り焼け石に水で、遅かれ早かれ再び閑古鳥が鳴くような事態になる可能性が高い。つまり、莫大な税金を費やしても「支援」にならず、単なる「延命」にしかならない恐れがあるのだ。