ホームレスは「自己責任」か?
14歳から支援の道へ
認定NPO法人Homedoor (ホームドア)代表の川口加奈さん(29歳)は、ホームレス支援の中で異彩を放っている。川口さんは、中学生だった14歳のころからホームレス問題に取り組み続け、大学在学中だった19歳のときにHomedoorを設立した(当初は任意団体)。ホームレス問題に取り組み続けている若い女性は、それだけで異色の存在だ。29歳の若さで、すでに15年以上の活動実績を積み重ねているという点も、異色である。
活動のコンセプトは、一貫して「誰もが何度でもやり直せる社会を」。それは、14歳で初めて大阪・釜ヶ崎の炊き出しに参加した川口さんの、「自己責任でホームレスになったわけではない」という気づきに根ざしている。
世の中には、1人の人間や1つの家庭から安定を奪いかねないものが満ち溢れている。さまざまな「セーフティネット」をもたらしてくれるはずの家庭や職場は、ふとしたきっかけで脅威に変わることがある。災害・不景気・ハラスメント・病気・負傷など、生活基盤を根こそぎ奪う可能性のあるものは、世の中に常に存在する。「自己責任で備えて乗り切ることができた」と言い切れる人は、たまたま幸運だったのだ。
Homedoorの活動の特色は、ホームレス状態の人々に対して「仕事をつくる」というアプローチにある。当事者のニーズが、圧倒的に「仕事がしたい」という点にあったからだ。そこで、川口さんたちは仕事をつくり、さまざまな社会課題の解決と組み合わせることで、行政や営利企業にも理解を広め、協働を根付かせていった。