東京五輪の選手村、森友学園の小学校の土地鑑定を巡り、不動産鑑定士業界が揺れている。土地の評価が「おかしい」とし、不動産鑑定士の懲戒処分請求が業界団体に相次ぎ提出されたのだ。(ダイヤモンド編集部 臼井真粧美)
東京オリンピック・パラリンピックの選手村用地、学校法人森友学園の小学校用地(当時)、それぞれの土地鑑定が不適切だとし、鑑定した不動産鑑定士に対し、同業の鑑定士が業界団体である日本不動産鑑定士協会連合会に懲戒請求をしたことがダイヤモンド編集部の取材で分かった。いずれも公共の土地が超格安で売却され、問題が指摘されてきた。
不動産鑑定士は難関国家資格の一つであり、土地などの不動産の価値評価を行う。彼らが鑑定して示した価格は、国有財産などの売却価格の決定に使用される。
鑑定を依頼する側がそれぞれの事情でより高いあるいはより低い値付けを希望したとしても、不動産鑑定士は依頼者の意向に左右されることなく、専門家として公正中立な立場で土地の価値を評価する。だからこそ不動産鑑定士が出す鑑定価格は信用を得てきた。
ところが選手村、森友の土地で不適切な鑑定評価が行われたとして、不動産鑑定士の間で糾弾が始まった。