「大変申し訳ありませんでした。商品を交換いたします」

「楽しみにしていた酒のあてだ!これでは明日仕事にならん!」
「仕事休んだら生活できない!精神的な苦痛をどうしてくれる!」

 商品を買っていただいた以上は、お客様です。見た目や怒鳴り声だけで「恐喝だ!」とも言えません。

まずは冷静になるために
身体的なストレスを取り除く

 このとき私は、転職を後悔しながら、どうすれば良いのかわからず冷静さを失っていました。同時に警察時代には、どうしていただろうかと思い出していました。

 市民から「困っています、相談に乗ってください」と言われた際に、「具体的な要求をしていないので恐喝とは言えません。相手は暴力団ではないので警察の出番ではありません。おたくのお店(責任者のあなた自身)が毅然とした対応をしてください。不当な要求はきっぱりと断ってください。もし、金銭の要求や暴力を受けたら110番してください」

 そう言って、具体的な対応策も提示せず“前裁き”をしていた自分が民間人になったのです。

 困り果てたとき、ふと思いだしたのは、「困ったとき、まずは落ち着け!」「丹田を意識して平常心が大切だ」という警察学校時代の恩師の教えでした。

 少しずつ落ち着きを取り戻した私は、この時初めて自分の足がしびれかけていることに気づきました。我に返り冷静になったことで、クレーマーの目を見ながら「足がしびれたので崩させていただきます」ときっぱりと告げることができたのです。