台北在住のサラ・リンさん(25)はフライト中、いつも睡眠を取る。目的地に到着後、観光をめいっぱい楽しむためだ。だが新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)で、もう1年近く足止めを食らっている。そんな時、韓国・済州(チェジュ)島に空路向かうチャンスがあると知って飛びついた――現地に降り立つことがないのは分かっていたが。韓国観光公社はこれを「ノーランディング(着陸なし)旅行」と名づけた。リンさんはパスポートを引っ張り出し、マスクを着け、空港のゲートで順番待ちする間、胸の高鳴りを覚えた。費用約230ドル(約2万4000円)のパッケージに含まれる4時間のフライト中、乗客は等身大のKポップスターのパネルと写真を撮ることができ、韓国風フライドチキンを提供される。フライト終了後、誰ひとり隔離される必要はなかった。