菅義偉新首相は、安倍前政権の路線の継続を掲げている。とはいえ、携帯電話料金の引き下げを打ち出すなど成長戦略の優先順位を変えてきている。為替相場としては、安定していた安倍政権だからこそ円安を進めることができた面がある。特集『賢人100人に聞く!日本の未来』(全55回)の#14では、エコノミスト、ストラテジストに政権交代の影響を聞いた。(ダイヤモンド編集部編集委員 竹田孝洋)
成長戦略の政策の優先順位に変化
デジタル化、携帯料金引き下げが前面に
安倍晋三前首相の退陣表明を受け、9月16日に誕生した菅新政権。政権交代は経済政策や金融市場に変化をもたらすのか。
今回、33人のエコノミストやストラテジストに政権交代が経済政策や金融市場に影響するのかどうかについて、「はい」「いいえ」で聞いた上で、その理由を挙げてもらった。その中から、「はい」「いいえ」にかかわらず、変化の可能性を指摘しているものを分野別に以下に掲載した。
【政権交代は経済政策や金融市場に変化をもたらすのか】
全体の回答結果
はい6票 いいえ28票
◆経済政策
青木大樹・UBSウェルス・マネジメント本部日本地域最高投資責任者兼チーフエコノミスト
いいえ マクロ政策の方向性は変わらない。ただ、成長戦略は優先順位に変化。行政のデジタル化、携帯電話料金引き下げ、地方銀行改革、観光強化が前面に。
河野龍太郎・BNPパリバ証券チーフエコノミスト
いいえ 当面、パンデミック危機下で、政府は財政出動を繰り返さざるを得ず、日本銀行も金融緩和を継続せざるを得ないため、マクロ安定化政策の方向性が変わるとは予想されない。ただ、菅新首相はリフレ派とは距離を取っており、自民党総裁選挙でも「自助、共助、公助」をキーワードとし、財政政策に頼ったアベノミクスとは一線を画している。時間が経過すれば、変化が徐々に見えてくる可能性がある。