企業直撃 地政学リスク#2Photo by Yoko Akiyoshi

米中の緊張状態を「新冷戦」と呼ぶのは楽観的、武力衝突する「熱戦」を念頭に置け――。特集『企業直撃 新・地政学リスク』(全14回)の#2では、元外務省主任分析官で作家の佐藤優氏が、米中対立を軸とした新・地政学時代を読み解いた。(構成/ダイヤモンド編集部副編集長 杉本りうこ)

新冷戦と呼ぶのは
大甘の戦局分析だ

 日本には現在の米中の緊張状態を「新冷戦」と表現する向きが多々ある。だがこれは見通しとして、甘過ぎる。

 冷戦というのは、「戦争にならない、武力衝突が起きない」という意味だ。しかし米中間には現実的に武力衝突が起き得る、つまり「熱戦」になる可能性がある。具体的には、南シナ海のような地域で米軍と中国軍が武力衝突する可能性が排除できない。

 米国にジョン・ミアシャイマー氏という政治学者がいる。日本だと彼を際物視する向きもあるが、実にリアルで地政学的な見方を示している。ミアシャイマー氏の指摘を紹介しよう。