米カリフォルニア州ストックトン市は昨年、ある社会実験を始めた。低所得地域の無作為に選ばれた125世帯に月500ドル(約5万3000円)を18カ月間にわたって支給するというものだ。対象者の健康状態や経済状況への影響を非対象者と比較することになっている。総費用380万ドルのこの実験はマイケル・タブス市長(30)の発案によるもので、「エコノミック・セキュリティー・プロジェクト」などからの寄付金によって実現した。同プロジェクトは、フェイスブックの共同創設者クリス・ヒューズ氏らが所得保障事業への資金拠出を目的に立ち上げた。新型コロナウイルスの感染拡大で多くの世帯の経済的なもろさが浮き彫りになる中、一部の学者や当局者らの間では米国のセーフティーネットを見直す動きが出ており、ストックトン市はその先頭に立っている。彼らの主張によると、最善の貧困対策は貧困世帯に現金を給付し、その使途を各世帯の判断に任せることだ。