ゲームソフトメーカー大手、スクウェア・エニックスの人気ロールプレイングゲームの最新作「ドラゴンクエストX」が8月2日に発売されて、2ヵ月が経とうとしている。最新作のウリは「オンライン化」だが、ドラクエの醍醐味とされる「ひとりで遊ぶ楽しさ」が失われると世間からの猛反発を受け、販売本数がふるわない要因とする向きもある。だが、その見方は本当に正しいのか。賭博開張疑惑も報道されるなど話題も尽きない「ドラクエX」でオンラインゲームデビューし、発売日初日から自腹で遊び続ける、小山友介芝浦工大准教授が「ドラクエX」のビジネスの是非を検証する。

ドラクエXの収益構造は「パッケージソフト売上」と
「オンライン月額定額課金」の二階建て

 ドラゴンクエスト10(以下、ドラクエX)の現在までの売上本数は53万8547本(8月2日~9月9日まで。メディアクリエイト調べ)。発売元のスクウェア・エニックス(以下スク・エニ)の発表によれば、前作「ドラクエ9」が426万本なので、現在の売上本数は前作の8分の1程度となり、お世辞にも多いとは言えない数字である。

 この数字だけ見ると、「やはりオンライン化したドラクエXは失敗なのか」と思えそうだが、決してそうではない。今後のサービス期間次第では、同社の人気ロールプレイングゲーム「ファイナルファンタジー11」が「FFシリーズ歴代最高利益タイトル」になったのと同様に、ドラクエXも「歴代で最高利益を上げたドラクエ」となる可能性を秘めているからだ。

 右のグラフは2003年~2009年のスク・エニのオンラインゲーム部門の売上高と営業利益の推移をまとめたものである(2010年以降はゲーム部門に統合されたので、オンラインゲームのみの収益は不明)。年によって上下があるが、スク・エニの公式発表では、「ファイナルファンタジー11」は累計で400億円を超える営業利益をあげている。パッケージゲーム1本あたりの収益を4000円、売上高営業利益率を25%とすると、パッケージで4000万本販売したのに相当する利益である。当時のスク・エニのオンラインゲーム部門の売上の大半はFF11だったので、この利益の9割以上はFF11がもたらしたと見るのが妥当だ。

 いわゆる、従来型オフラインタイプの家庭用ゲームソフトの標準価格は1本6800~7800円(ドラクエXは6980円)。ソフトメーカーに入るのは、小売店へのマージン、プラットフォーム会社(今回は任天堂)へのロイヤリティとパッケージ製造費をのぞいた、3~4000円程度。ここから、開発費・宣伝費などを引いた金額が利益となる。