通信 大激変Photo by Reiji Murai

NTTがグループ再編をさらに推し進める。2020年にNTTドコモを完全子会社化したのに続き、25年にはNTTデータグループを完全子会社化した。すでに「NTTドコモの分割」に着手しており「NTTデータグループの強化」に向けてもう一段の再編もありそうだ。長期連載『通信 大激変』の本稿では、これらのグループ再編を遂行する中期の戦略の全貌と、NTTグループを率いる島田明社長が打った役員人事の布陣の全貌を明かし、次の一手を大胆に予想する。(ダイヤモンド編集部 村井令二)

「ドコモ分割」の狙いとは?
法人事業に続いて金融事業を強化へ

 NTTドコモを持ち株会社にしてはどうか――。

 2020年、NTTがドコモを完全子会社化した時期に前後して、NTTグループの内部で、傘下のドコモの事業を分割して持ち株会社に再編する構想があった。関係者によると、当時社長だった澤田純氏(現会長)のアイデアで、ドコモの通信、サービス、法人の各事業を持ち株会社で分割統治する案が話し合われたという。

 だが結論から言えば、当時の議論は深まらず、「ドコモ持ち株会社化」の構想は幻に終わった。それでも、ドコモの通信、サービス、法人の各事業をどのように統治して強化・成長させていくかは、今でも重要な課題だ。

 その観点で、NTTが最初に着手したのが、ドコモの法人事業の強化だ。ドコモは22年、旧NTTコミュニケーションズ(現NTTドコモビジネス)を完全子会社化し、5000人規模の法人営業部隊を切り離してドコモビジネスに移管した。これにより、ドコモの法人事業は26年3月期に売り上げ規模が2兆円を超える強力な組織に変貌した。

 一方で、残された課題になったのはドコモ本体の携帯電話事業だ。NTTの完全子会社になって以降も、ドコモの携帯契約は競合他社に流出が続いており、26年3月期も大幅減益に陥った。

 こうしたドコモの不振は、NTTグループ全体の足を引っ張っている。NTTは5月8日、グループの中期経営計画の利益目標の達成を3年先送りすると発表。27年度にEBITDA(利払い・税引き・償却前利益)を4兆円にする中期経営計画の達成時期は30年度にずれ込むこととなった。

 NTTの島田明社長は「モバイルビジネスの環境変化で中期戦略を見直した」と、ドコモの携帯事業の減益が中期計画先送りの要因であることを認めた。その上で、新たに策定した26~30年度の中期計画では、ドコモに代わる稼ぎ頭を構築する戦略を打ち出した。

 その戦略の柱は三つだ。

 一つ目は、ドコモ傘下のドコモビジネスと、NTTデータグループ傘下のNTTデータを一体運営して、グループの国内法人事業を強化することだ。

 二つ目も、NTTデータグループが対象で、傘下の海外事業で、AI(人工知能)とデータセンターへの投資を拡大して、グローバルに利益成長を図る。

 三つ目は、ドコモから金融事業を切り離して、非通信事業の利益成長を狙う。22年にドコモビジネスに法人事業を移管したのに続いてドコモの事業分割を進めていく。

 この戦略を推し進めるため、島田社長は、役員人事で布石を打った。

 NTTグループの再編は「ドコモ分割」と「NTTデータグループ強化」にとどまらず、一段と進むことになりそうだ。次ページでは、新たな成長戦略の全容を解明するとともに、その実行のキーパーソン3人を明らかにすることで、 NTTグループ再編の「次」の姿を大胆に予想する。