写真はイメージです。Photo:PIXTA

コロナ禍でオンラインイベントの開催も増える中、ネット上でたびたび指摘されているのが、ビジネス系イベントでの女性登壇者の少なさ。スーツ姿の男性ばかりのイベントを見てあなたが違和感を覚えないとしたら、自身の脳内アップデートが遅れているかもしれない。ここ数年で、世界はジェンダー意識を大きく革新しようとしている。今後、企業に求められるジェンダー視点とは何か。今月、新刊となる『「男女格差後進国」の衝撃 無意識のジェンダー・バイアスを克服する』(小学館新書)を出版したジャーナリストの治部れんげ氏に話を聞いた。(聞き手/フリーライター 雪代すみれ)

日本でも女性役員は増加傾向

――ジェンダーに関する企業の取り組みは、どのように変化しているのでしょうか。

 まず、大企業を中心に女性の役員が増えてきています。上場企業の女性役員比率を3割以上にすることを目標に掲げている「30% Club Japan」の調査によると、TOPIX100(東証上場企業のうち時価総額や流動性が高い上位100社)における女性役員の割合は年々上昇し、2016年には7.0%だったのが、2020年7月末で12.9%となっています。また女性役員0名の企業も年々減少しており、2016年には30社だったのが、現在は8社です。

 背景には機関投資家の存在があります。特に欧米系の機関投資家が「会社を経営するときに男性だけというのは意思決定が偏るのでよくない」と言っています。女性の役員がいない会社に対しては、株主総会で取締役を選ぶ投票の際にNOの票を投じたり、企業と直接話をする際に、「きちんと女性役員を入れてくださいね」とプレッシャーがかけられたりしているんです。2015年に経団連に初の女性役員が就任したのも、安倍前首相が女性活躍を掲げた影響があり、上からの指示という要素は大きいと考えています。

 一方、社長が大株主になっているような比較的小さな規模の会社では、外からのチェックの機能が働きにくく、セクハラなどの問題が起きても適切に処分されないという問題も生じています。経営者とチェックする人の権力は、分散された方が経営者を規律する機能が働くと思います。

――数字だけを見ると、海外と比べて、日本はあまり進んでいる実感を持てない気がします。

 例えばイギリスでは、FTSE100(イギリスのロンドン証券取引所に上場している時価総額が大きい100社)の取締役会に占める女性比率が34.8%、FTSE350でも33.3%に達していますので、海外と比較すると日本の遅れ感はありますね。世界経済フォーラムの「ジェンダーギャップ指数」の順位にしても、他の国の改善の速度が速く、日本も努力はしているものの、なかなか順位が上がりません。