プロテニス選手の大坂なおみさんが黒人男性銃撃事件への抗議として大会をボイコットした。この一件を受けて、「引きこもり」を巡る差別に対しても今こそ反対の声を上げるべきではないかと考えた。テレビの差別的報道をはじめとして、引きこもりに対するさまざまな差別や偏見、誤解に反対であるという意見表明が求められているのではないか。(ジャーナリスト 池上正樹)
大坂なおみ選手のボイコットを見て
引きこもりに対する差別を思う
米国で黒人男性が警察官に背後から撃たれたことに抗議し、プロテニス選手の大坂なおみさんがツアー大会をボイコットすると発表したニュースを見ていて思ったことがある。
大坂さんは、自身のツイッターで「私はアスリートである前に、1人の黒人女性です。何度も何度も同じ話題を扱うことに疲れ切っています。いつになったら終わるのでしょう」とつぶやいていた。
これは、他のスポーツ競技で試合を延期するなど黒人男性を悼む動きがある中で、テニスは何事もなかったかのようにトーナメントを進めていいのか?という彼女なりの問題提起だ。
ところが、日本では「スポーツ選手が政治的発言をするべきではない」「あなたはもう日本人ではない」などといった批判があふれた。自身も当事者である大坂さんがどんなに訴えたかったかが分かる出来事のはずなのに、多様性を持つ彼女のような思考に見て見ぬふりをして、言葉を封じ込める人たちがたくさんいる現実に驚かされる。