「終戦宣言」の実現に向けて
突然の韓国・文大統領の国連演説
9月23日、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、事前収録された国連での演説で、「終戦宣言こそが朝鮮半島の非核化と恒久的な平和に必要」と述べた。その発言によって、文氏は終戦宣言の実現に向けて国際社会に協力を求めたとみられる。
朝鮮半島の平和を望むのは韓国の大統領として当然なのだが、現在の北朝鮮の核開発などの状況を考えると、いかにも唐突な印象をぬぐえない。しかも、これまで同国の安全保障にとって重要な役割を果たしてきた同盟国である米国には、今回の演説の趣旨を事前に説明していなかったといわれている。それは、ポンペオ国務長官の反応からも明らかだろう。相変わらず、文氏の行動にはよく理解できない部分が多い。
演説の背景には、おそらくいくつかの要因があったのだろう。
その一つは、韓国国内の雇用環境などの悪化で、同氏の支持率の低下傾向が明確になっていることがありそうだ。そうした状況を乗り切るため、文氏は唐突ともいえる“朝鮮半島の終戦宣言”を持ち出したと考えられる。韓国専門家の中には、文氏が朝鮮半島の統一を何とか実現したいとの願望が強いとの見方もある。それを実現するためには、国際世論のバックアップが必須とみているのだろう。