インターネットの「知の巨人」、読書猿さん。その圧倒的な知識、教養、ユニークな語り口はネットで評判となり、多くのファンを獲得。新刊の『独学大全──絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法』には東京大学教授の柳川範之氏「著者の知識が圧倒的」独立研究者の山口周氏「この本、とても面白いです」と推薦文を寄せるなど、早くも話題になっています。
この連載では、本書の内容を元にしながら「勉強が続かない」「やる気が出ない」「目標の立て方がわからない」「受験に受かりたい」「英語を学び直したい」……などなど、「具体的な悩み」に著者が回答します。今日から役立ち、一生使える方法を紹介していきます。(イラスト:塩川いづみ)
※質問は、著者の「マシュマロ」宛てにいただいたものを元に、加筆・修正しています。読書猿さんのマシュマロはこちら

9割の人が知らない「大人になっても世界史が苦手」な人が見逃す意外な1冊Photo: Adobe Stock

[質問]
歴史(世界史)をちゃんと勉強したいと思っています。

 今年こそ、歴史(世界史)をちゃんと勉強したいと思っています。「だったら、まず教科書を読め」とある人にアドバイスされて、実家から引っ張り出してきましたが、どうにも無味乾燥で、早速挫折しそうです。

 代わりになにか良い教材があれば教えてください。

最新教科書のサブテキストがおすすめです

[読書猿の解答]
 まず何故教科書が勧められるかというと、大人がかつて学んだのと今教えられているものがどう違うか話題になるように(本もいくつも出てます)日本史や世界史の教科書はアップデートされているからです。

 これに対して一般向けとされる世界史本には、たとえば産業革命は出てきても勤勉革命は登場せず、近代世界システムも環大西洋革命も出てきません。

 次に何故教科書が無味乾燥なのかといえば、限られたページ数に比して盛り込むべき項目が多く、相当な無理をして詰め込んでいるからです。乾燥食料みたいなもので、読み手が自分で「お湯でもどす」作業が必要です。

 それで対策です。アップデートされた教科書に準拠したサブテキストを使いましょう。

 具体的には帝国書院の世界史図説『最新世界史図説 タペストリー』の最新版を入手し、冒頭の「世界全図でみる世界史」から始めましょう。見開き2ページで50ページ、合計25枚の年代別世界地図で、各年代の「時代の概観」や「主な事件」までついています。まずはこれを一通り流します。短いので数回繰り返してもよいでしょう。

9割の人が知らない「大人になっても世界史が苦手」な人が見逃す意外な1冊

 この「世界全図」にも各項目への参照があります。より詳しいことが知りたくなったら各ページへ飛ぶとよいです。どの項目も図や表や映像資料や史料紹介からできています。どれも相当な情報量ですが、どの項目も見開き2ページで構成されています。最初は読破など考えず、「世界全図」から好きな項目を回ってみるとよいと思います。