新型コロナウィルスの影響で、世の中が大きく変わりつつある。そんな変化の激しい現代において「子どもに何をしてあげられるか」と悩んでいる親は多いのではないだろうか。
そこで、これまで教育を軸に取材を重ねてきた著者が、教育学、心理学、脳科学等、さまざまな切り口の資料や取材を元に「いま、最も子どものためになる」ことを『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』(加藤紀子著)にまとめた。
「家での勉強のしかた」から「遊び」「習い事」「運動」「食事」まで、子育てのあらゆるテーマをカバー。100の「してあげたいこと」を実践するにあたっては、さらに詳細な「421の具体策」で、実際に何をどうしてあげればいいのかまで丁寧に落とし込んでいる。
発売早々、高濱正伸氏(花まる学習会代表)が「画期的な1冊が誕生した。長年の取材で得た情報を、親としての『これは使えるな』という実感でふるいにかけ、学術研究の裏付けやデータなども確認した上でまとめあげた力作である」と評するなど話題騒然の1冊だ。本稿では、特別に本書から一部を抜粋・編集して紹介する。

Photo:Adobe Stock

「頭のいい子」はどう勉強している?

 慶應義塾大学発のベンチャー企業で住宅の総合コンサルティングを行なってきた四十万靖氏は、有名私立中学校に合格した約200世帯の住環境を取材し、「頭のよい子」はどんな家で育っているのかを調査しました。

 この調査に四十万氏とともに関わった、建築家で東洋大学情報連携学部教授の渡邊朗子氏は「『頭のよい子』とは、たんに『勉強ができる子』ではなく、好奇心が強く、物事をよく観察し、考え、問題があれば果敢にチャレンジする、感性と創造力に優れた子をイメージしている」といっています(『頭のよい子が育つ家』文春文庫)

 調査結果をひもとくと、子どもが学ぶのに向いた家にはいくつか共通点があるようです。

「気の向く場所」で勉強する

 渡邊教授は「子どもにとって、生活の『基地』は決して子ども部屋ではなく、家全体だ」といい、「頭のよい子が育つ家」に共通する要素として、「ノマド」を挙げています。

 ノマドとは遊牧民のことです。「頭のよい子」たちは、遊牧民のように家の中で勉強する場所を変え、必ずしも子ども部屋に閉じこもって勉強してはいません

 家族の気配を感じられる空間であれば、安心して勉強できるようです。

子ども部屋を「風通しのよい場所」にする

 子どもにとって、ひとりになれる個別の空間は精神的な安心感につながり、成長の過程に欠かせないものです。

 ですが、子ども部屋を勉強、遊び、睡眠など、すべての営みができる豪華な空間にする必要はなく、むしろ「小さくても家族とつながりの感じられる、風通しのよい場所であるべきだ」と渡邊教授はいっています。

 そのためには、たとえば子ども部屋のドアを開けっ放しにする、ドアを外してカーテンで仕切るなど、個室でも親子がお互いの気配を感じられるための工夫を取り入れるようにします。

「段階」を踏んで移行する

 早稲田大学のこども環境学者、佐藤将之准教授は、子どもが「自分の部屋がほしい」と言い出したら、たとえば最初は自室では寝るだけにして、勉強をするのはリビングのままにするなど、段階を踏んで移行を進めるのがスムーズだといっています。

子ども部屋へは「リビング経由」で

 建築家の横山彰人氏は、玄関から直接出入りでき、親子が顔を合わせない場所に子ども部屋をつくると、子どもが家族から孤立し、非行などにつながりかねないと忠告しています。

 親の知らないあいだに友だちが自由に出入りしたり、子どもが勝手に出かけたりしないよう、子ども部屋はリビング経由で出入りする場所に置けると理想的です。

「自然」と触れ合う

 人は、家も含めた外部環境から多くの影響を受けます。「ヨーロッパでは『子どもの自然欠乏症候群』という言葉があり、石ころ、水たまり、虫が這っている、草が生えている……そういう世界に子どもを十分浸してあげないと、知覚がまともに育ってこない」と東京大学医学部の解剖学者、養老孟司名誉教授はいっています。

 自然の中で五感を働かせる経験を積み重ねないと、脳の成長バランスがくずれてしまいます。自然の少ない都会に暮らしているなら、週末や休日には、自然と触れ合える環境に身を置かせてあげることも、子どもの成長にとっては大切です。

(本原稿は、『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』の内容を抜粋・編集したものです)