新型コロナウィルスの影響で、世の中が大きく変わりつつある。そんな変化の激しい現代において「子どもに何をしてあげられるか」と悩んでいる親は多いのではないだろうか。
そこで、これまで教育を軸に取材を重ねてきた著者が、教育学から心理学までさまざまな資料や取材を元に、「家での勉強のしかた」から「遊び」「習い事」「運動」「食事」まで、子育てのあらゆるテーマをカバー、「いま、最も子どものためになる」ことを『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』(加藤紀子著)にまとめた。
発売早々、高濱正伸氏(花まる学習会代表)が「画期的な1冊が誕生した。長年の取材で得た情報を、親としての『これは使えるな』という実感でふるいにかけ、学術研究の裏付けやデータなども確認した上でまとめあげた力作である」と評するなど話題騒然の1冊だ。本稿では、特別に本書から一部を抜粋・編集して紹介する。
「ぼーっ」とするとき、脳は重要な活動をしている
脳は体重の2%ほどの大きさですが、体が消費する全エネルギーの20%を使います。さらに、この脳の消費エネルギーの60~80%が、デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)という脳回路に使われています。
DMNは、脳が意識的な活動をしていないとき、つまり、「ぼーっ」としているときに働いている領域です。自動車のアイドリング状態と同じで、これから起こるかもしれない出来事にそなえるため、さまざまな脳の活動をまとめあげるのに重要な役割を果たしています。
さらに最近では研究が進み、このDMNが、私たちの脳の中に散らばる「記憶の断片」を無意識のうちにつなぎ合わせ、思わぬ「ひらめき」を生み出しているのではないかと注目されています。
ぼーっとしている子どもが目に入ると、「ぼーっとしている時間がもったいない」と大人は思いがちですが、子どもは毎日学校で過ごすだけでも十分すぎる刺激を受け、体も脳も、大人が思う以上に疲れています。
親は子どもに対して、エネルギーも楽しさも大きい状態にあることをつねに期待しますが、子どもには、穏やかでゆったりとした時間を持ち、ぼーっとする時間も必要なのです。
ぼーっとする時間は、子どもの創造力を育むうえでも、とても貴重な時間になります。
「ぼーっとする時間」を確保する
一日の中で、子どもがぼんやり空想できるような時間を、親は意識的に確保します。
全米最優秀女子高生を育てた母であり、ライフコーチのボーク重子さんは、娘が通っていたアメリカ屈指の名門小学校でユニークな宿題に出合ったといいます。それは「毎日20分間の空想」です。
ボークさんは、クレヨンや画材を置いた「アートルーム」という空間をつくり、子どもが小学6年生になるくらいまで毎日20分間、自由に過ごさせました。
「毎日20分も空想していると飽きてしまう。でも、この『飽きる』という行為も、じつはとても大事。人は飽きるとクリエイティブになれるから」とボークさんはふりかえります(『世界最高の子育て』ダイヤモンド社)。
疲れにくい脳をつくる
DMNが過活動になると、疲労感がたまっていき、それによって集中力やパフォーマンスが低下します。
逆に、DMNの活動を抑える脳構造をつくれば、疲労感を感じにくくなります。
DMNの活動を抑えて疲れにくい脳をつくるには、スマホやPC、テレビなどの「スクリーン」をオフにすること、そして、マインドフルネスが有効です。
(本原稿は、『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』の内容を抜粋・編集したものです)
久賀谷亮 『世界のエリートがやっている最高の休息法』(ダイヤモンド社)
ボーク重子『世界最高の子育て』(ダイヤモンド社)
ボーク重子「英才教育は一切なし。全米屈指の名門校の教育方針」(NewsPicks, 2018/5/1)
「NHK スペシャル『人体』“脳”すごいぞ!ひらめきと記憶の正体」(NHK健康ch, 2018/2/4】