新型コロナウィルスの影響で、世の中が大きく変わりつつある。そんな変化の激しい現代において「子どもに何をしてあげられるか」と悩んでいる親は多いのではないだろうか。
そこで、これまで教育を軸に取材を重ねてきた著者が、教育学から心理学までさまざまな資料や取材を元に、「家での勉強のしかた」から「遊び」「習い事」「運動」「食事」まで、子育てのあらゆるテーマをカバー、「いま、最も子どものためになる」ことを『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』(加藤紀子著)にまとめた。
発売早々、高濱正伸氏(花まる学習会代表)が「画期的な1冊が誕生した。長年の取材で得た情報を、親としての『これは使えるな』という実感でふるいにかけ、学術研究の裏付けやデータなども確認した上でまとめあげた力作である」と評するなど話題騒然の1冊だ。本稿では、特別に本書から一部を紹介する。

「勉強の習慣がある子」の親がしている4つのコツPhoto by Adobe Stock

習慣は「一生の財産」になる

 2006年にデューク大学の研究チームが発表した論文によると、日常の行動の45%は「その場の決定」ではなく「習慣」だといいます。アメリカの教育改革者、ホーレス・マンは「習慣は太い縄のようなものだ。毎日1本ずつ糸をより続けると、やがてそれは断ち切れないほどのものになる」との言葉を残しています。

 また、京都造形芸術大学副学長で、コーチングやアクティブラーニングの第一人者である本間正人氏は、これからは「最終学歴」ではなく、誰もが「最新学習歴」を更新していく社会になる、といっています。

 寿命が延び、一生学び続ける時代の到来。歯磨きや食事、入浴などと同じように、勉強を毎日の習慣に組み込むことは大きな強みになるでしょう。

 では、子どもに勉強の習慣をつくってあげるにはどうすればいいでしょうか。

【その1】時間を決めて「スモールステップ」でやる

 たとえば宿題をするとき、「宿題をやる」とざっくり考えると気が重いものです。しかし「音読」「漢字」「計算」などと細かく分けてしまえば、負担感が少なく感じます。

 また、それぞれのステップに「何時から何時まで」と細かく時間を決めると、「何時になったらやる時間だ」と気持ちを準備できるので、手をつけやすくなります。

 さらに、実行する「場所」も決めておくと、時間になったらそこに行ってスパッと切り替えて勉強を始めることができます。

【その2】「遊ぶ時間」も確保する

 やるべき勉強を子どもが手早く終わらせたとき、「じゃあついでにこれもやってみよう」と追加の課題を与えるのはNG。あらかじめお楽しみの時間はしっかりと確保しておき、満喫させます。

 フィンランドで行なわれた学力についての調査から、休み時間を与えられた子どもたちのほうが、座っている時間が長い子どもたちより学力が高くなることがわかっています。

 アメリカの保健福祉省のレポートからも、体を使った活動によって脳の血流が増加し、酸素が増え、脳の働きに役立つことが明らかになっています。メリハリをつけて勉強したほうが、子どもの集中力はアップするようです。

【その3】「ゲーム」にしてしまう

 行動分析学者の奥田健次氏は、ごはん前に宿題が終わらなかった子どもに対して「明日はきちんと約束を守るのよ」と言っても、子どもにとっての「明日」、つまり24時間先は時間的に遠すぎて、効果がないと指摘します(『世界に1つだけの子育ての教科書』ダイヤモンド社)

 奥田氏は、なかなか宿題を始めない子には、まずはゲームっぽく「お母さんがいまから2階に行って帰ってくるまでに宿題を始められるかな。3分ですぐに帰ってくるからね。あ、まだやったらダメよ。お母さんがこの部屋を出てからスタートね!」などと伝えることが効果的だといっています。

 もし子どもが3分後もまだ遊んでいたら、3分という感覚が見積もれていないということなので、次からは1分、30秒とさらに短くします。戻ってきた親が、宿題を始めたことを思いきりほめると、子どもは大きな達成感を感じることができると奥田氏はいっています。

【その4】親も習慣にする

 子どもがやらないことにイライラするより、テレビを消し、食卓を片付け、親自身が机に向かうほうが手っ取り早いかもしれません。親が自分から楽しそうに本を読んだり何かを書いたりしている姿を見ると、子どもも自然と自分から机に向かうようになります。

(本原稿は、『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』からの抜粋です)

参考文献
スティーヴン・ガイズ『小さな習慣』(田口未和訳、ダイヤモンド社)
奥田健次『世界に1つだけの子育ての教科書』(ダイヤモンド社)
佐々木正美『子どもの心の育てかた』(河出書房新社)
サンニ・グラーン=ラーソネン「フィンランド イスから自由になれば子どもは伸びる」(加藤京子・文・構成、日経DUAL, 2017/10/27)
「スポーツをしている子の方が勉強ができる!? 調査結果から見るその理由とは」(サカイク、2018/9/20)