オンラインでは、教育できないと決めつけない

ですから、そうしたMOOCの修了率などの問題を考えて、オンライン教育は、これまでの教育に取って代わるようなものなのではなくて、新しい形の教材を提供しているんだなという考えが広がるようになりました。

MOOCだけでは修了できない。教材だから、先生や他のクラスメートからのサポートが必要。MOOC自体は授業にはならなくて、あくまで、動画やその他良質の教材を提供してくれるツールにすぎない。オンライン教育はこれまでの授業にうまく組み込むもの。つまり、オンラインで教育するのでなく、オンラインの教材でしかない。

でも、僕は、そうじゃないだろうと思っていたんです。

オンラインでは教育できないと決めつけないで、まずはやってみようという感じでした。

だからある意味、時代の流れと完全に逆行していました。

当時は、僕自身、自然に向けられていた懐疑でした。

感情とか社会性とか人のことをじっくり考えたり、人のいうことを正しく聞き取ったりと、この本のテーマそのものですが、それらをオンライン教育でガチでやってやろうじゃないかと思いましたね。

そして、それをやるとしたら、伝統的な形の学校でできるぐらいのレベルでやっていても、到底認められないだろうと思ったので、普通の学校より断然いいじゃないかと思ってもらうレベルに達しないといけないと思ったのです。

そこがきっかけだったので、オンライン教育でも、感情や社会性を大切にする教育、つまりエンパシー教育、ウェルネス教育に目が向いていった。

この本にもありますが、スタンフォードは脳科学のジャンルに強く、ダライ・ラマの寄付で創設された通称「思いやりセンター(正式名:思いやり利他行動研究教育センター)」などのスタンフォード大学のリソースなどを活用しながら、徐々にカリキュラムをつくっていったのです。

神田昌典(Kanda Msanori)
経営コンサルタント・作家・日本を代表する国際的マーケッター
アルマ・クリエイション株式会社代表取締役
日本最大級の読書会である、一般社団法人リードフォーアクション代表理事
上智大学外国語学部卒。ニューヨーク大学経済学修士、ペンシルバニア大学ウォートンスクール経営学修士。
大学3年次に外交官試験合格、4年次より外務省経済部に勤務。
戦略コンサルティング会社、米国家電メーカーの日本代表として活躍後、1998年、経営コンサルタントとして独立。
コンサルティング業界を革新した顧客獲得実践会(現在は「次世代マーケティング実践協会」)を創設。
同会は、のべ2万人におよぶ経営者・起業家を指導する最大規模の経営者組織に発展。急成長企業の経営者、ベストセラー作家などを多数輩出した。
1998年に作家デビュー、100冊以上の著作を持つベストセラー作家である。
2018年、国際的マーケティング賞として著名な「ECHO賞」の国際審査員に選出。
ビジネス分野のみならず、NPO法人学修デザイナー協会理事を務めるなど、教育界でも精力的な活動を行っている。
星 友啓(Tomohiro Hoshi)
スタンフォード大学・オンラインハイスクール校長
経営者、教育者、論理学者
1977年生まれ。スタンフォード大学哲学博士。東京大学文学部思想文化学科哲学専修課程卒業。教育テクノロジーとオンライン教育の世界的リーダーとして活躍。コロナ禍でリモート化が急務の世界の教育界で、のべ50ヵ国・2万人以上の教育者を支援。スタンフォード大学のリーダーの一員として、同大学のオンライン化も牽引した。スタンフォード大学哲学部で博士号取得後、講師を経て同大学内にオンラインハイスクールを立ち上げるプロジェクトに参加。オンラインにもかかわらず、同校を近年全米トップ10の常連に、2020年には全米の大学進学校1位にまで押し上げる。世界30ヵ国、全米48州から900人の天才児たちを集め、世界屈指の大学から選りすぐりの学術・教育のエキスパートが100人体制でサポート。設立15年目。反転授業を取り入れ、世界トップのクオリティ教育を実現させたことで、アメリカのみならず世界の教育界で大きな注目を集める。本書が初の著書。
【著者公式サイト】(最新情報やブログを配信中)
https://tomohirohoshi.com/