日本人校長がオンライン教育を始めた理由
星:はい、ありがとうございます。
2010年に、オンライン教育のプラットフォーマーが生まれてきます。
そのプラットフォーマーで話題になったのは、MOOC(ムーク、Massive Open Online Courses)でした。
Massiveとは「大きい」、Openは「フリー(無料)でとれる」というオンラインコースが、いろいろな大学でできました。
自分の大学の有名教授の授業が、世界中、いつでもどこでも無料で受けられるという触れ込みで「今後の教育はMOOCに取って代われるぞ」と盛り上がっていたんですね。
2010年代のはじめに、大人気になっていく一方で、「いやいや、ちょっと待て。いろいろなコースがフリーで受けられるけれど、最後までカリキュラムを修了している人たちはものすごい少ないぞ」と報告されたのです。
リサーチの結果、修了率は10%以下と聞き、みんな原点に立ち返るわけです。
「オンライン教育は世界中、いつでもどこでも有名教授の授業が無料で見れるといっていたけれど、やっぱり学習は一人でやるのは相当難しい」と教育界も現実を突きつけるわけです。
それが一つの逆風となり、「オンラインハイスクール? そんなもの、できるのか。しかも、高校生なんかは無理だろう」という声が巻き起こります。
我々の学校は、スタンフォード大学・オンラインハイスクールといっていますが、中高一貫校なので、中学の生徒も入ってきます。
ですから余計に、
「そんな多感なときに、感情のコントロールの仕方とか、社会性とか、他の人とのつながり方とか、そんなのオンラインでできるわけないだろう。そんなところにうちの大切な子どもを送れるか」
という声が出てくるわけです。
せっかく興味を持ってくださった親御さんも、ごく自然な懐疑を持たれていました。