

筆者と超交流会との付き合いは、第10回で紹介した勝屋久氏と筆者が主宰のイベント「BRIDGE」の初回(2009年11月)に超交流会の出張セッションを行なっていただいて以来である。2010年からは、筆者も京都大学での「超交流会」に登壇し、本連載の第4回、5回のもととなるプレゼンテーションをした。
超交流会のもとは、ただの京大情報学同窓会の総会だった。その様子は寂しいものだった。仕方なく開いていたという雰囲気がにじみ出ていて、主催側が数名、出席者用に数十席を用意するが、出席者は主催側よりも少ないという状況が何回か続いていた。形骸化した同窓会の悪しきサイクルに陥っていたのだ。
そんな同窓会を見て、これではダメだと、同窓生の永原正章(同窓会会長[当時]/京都大学大学院情報学研究科助教)、今村元一(クエステトラ社長)、谷口忠大(立命館大学情報理工学部准教授)、誉田太朗(モバセンス社長)の四名が改善策を話し合ったことから、「超交流会」が誕生した。
「超交流会」は、京都大学情報学研究科どころか、京都大学に関係しない人や組織も歓迎し、数百人規模で開催されるオモロいイベントだ。年ごとに「みんなのアントレプレナーシップ」といったテーマを掲げ、エッジの効いた講演やセッション、企業や投資家も展示ブースを構え、交流会が行われる。さらに、イベントにとどまらず、縁が日々発展しているのが「超交流会」の最大の特徴だ。
いまでは超交流会コミュニティは思わぬほどに拡大発展している。筆者は超交流会を通して親しくなった近藤淳也氏(理学部出身、はてな社長)と「BIRTH」(ビジネス紹介プレゼンを受けて会場全員でアイデアを出す)という活動を実験的にはじめ、これまで京都で二回ほど開いた
他にも、様々な活動が生まれている。
ゲーミフィケーションをリードするベンチャー企業ゆめみは、超交流会を採用源にしており、今年も修士や博士の学生とつながり、数名をアルバイトとして採用している。ゆめみは「京大でゲーミフィケーションを説明した」というブランディングにも、超交流会はプラスになっている。
また、コラボレーション・ツールのベンチャー企業ヌーラボは、超交流会が関西圏のユーザ会の代わりになっており、ユーザーたちとお腹いっぱい話し、ユーザー同士の交流にも役立てている。
日本最大級のベンチャーの祭典「Infinity Ventures Summit」(IVS)の冬版は、宮崎で行なうというのが定番だったが、2010年から京都で開かれている。ここにも、超交流会が関わっている。