定数削減に絡んで漂い始めた不穏な空気、元首相3人が見立てる早期解散シナリオとは?閣僚会議で発言する首相の高市早苗(右)。各国リーダーたちとの会談後に実施された世論調査の内閣支持率は非常に高いものとなった Photo:JIJI

「風車、風が吹くまで昼寝かな」。戦後の東京裁判でA級戦犯として処刑されたただ一人の文官だった元首相、広田弘毅が外交官時代に詠んだ一句である。自民党総裁選挙で首相、高市早苗に敗退した防衛相、小泉進次郎を担いだ閣僚経験者の1人もこの句に自らの心境を託している。首相就任直後の高市の勢いを目の当たりにして、「今は何をやっても無駄」と見ているからだ。

 確かに憲政史上初の女性首相誕生という話題性に加え、米大統領のトランプをはじめ中国国家主席の習近平ら各国のリーダーたちとの会談は注目の的となった。その自信からなのだろう。一連の外交日程を終えた高市は記者会見でこう振り返った。

「非常に濃密かつ有意義な外交ウイークを走り抜けた」

 直後の世論調査の内閣支持率も高市に及第点を与えた。11月初めに実施されたJNNの調査は82%という高支持率をたたき出した。もっとも帰国後に高市を待ち受けた臨時国会は衆参ともに少数与党。しかも26年間維持された公明党との「自公連立」は解消され、日本維新の会との「自維連立」という未知の体制に頼らざるを得ない。

 加えて維新との間で結んだ連立合意書に盛り込まれた12項目の政策目標が高市に重くのしかかる。中でも維新が突き付けた衆院議員定数の1割削減は“毒まんじゅう”かもしれない。維新代表の吉村洋文は連立入りに当たって何度も力説した。

「臨時国会中に成し遂げるということは絶対条件だ」