
保険会社から保険代理店に対する過度な便宜供与に関する監督指針が示されたが、保険会社の営業担当者による同行営業など代理店への支援はどのように考えるべきなのか。また、かねて指摘されてきた「再委託」についてや、FPパートナーへの行政処分で示された「特別の利益提供」に関する論点について、連載『ダイヤモンド保険ラボ』の本稿で解説する。(元金融庁監督局特別検査官 成島康宏)
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便宜供与と比較推奨は
顧客保護の観点から密接
1.過度な便宜供与
(1)過度な便宜供与と比較推奨の関係
便宜供与等に関する監督指針の改正については、2025年8月28日に金融庁から「保険会社向けの総合的な監督指針」等の一部改正(案)に対するパブリックコメントの結果などの公表が行われ、改正後の監督指針が同日から適用されている。
便宜供与と比較推奨の間には、顧客保護の観点から非常に密接な関係がある。
乗り合い代理店は、顧客の意向に沿って複数の保険商品を比較し、最適な商品を推奨することが求められる。だが、代理店の中には、より多くの便宜供与を行う保険会社の商品を優先的に顧客に推奨する場合があり、結果として、顧客の真のニーズや補償(保障)・保険料の面で最も優れている商品ではなく、代理店にとって利益が大きい商品を推奨することが懸念される。
その一方で、便宜供与と比較推奨はそれぞれ別物であり、過度な便宜供与は代理店の自立を阻害するものであるため、比較推奨への影響の有無に関係なく禁止すべきだとの意見もある。
次ページでは、保険会社による保険代理店への便宜供与と支援の線引きがどこにあるのかに加え、対応に苦慮していると思われる保険会社の営業担当者の行動に対する考え方について、筆者の意見を述べる。また、喫緊の課題となった「保険募集に係る再委託の禁止」や、大手保険代理店FPパートナーに対する行政処分で指摘された「特別の利益提供に関する規制」についても論考する。







