「オワハラ相談ホットライン」つくって
先陣を切った三井物産

 逮捕者が出た大林組と住友商事は、事件後にOB・OG訪問の実施要領を策定するなどの対応措置を発表した。

 具体的には住友商事では就活生との飲酒を禁止し、面談は平日13~18時に社内施設で原則、実施するなどの制限を設け、社内申請も義務づけた。大林組も同じように、面談場所の制限や事前申請の義務付けなどの措置を実施した。パナソニック産機システムズも内定者向けの相談窓口などを設けるようになった。

 オワハラ撲滅に向けて先陣を切ったのが、三井物産だ。同社は19年、「オワハラ相談ホットライン」を設置している。人材開発室長から採用候補者に対してホットラインの存在をメールで周知し、50件以上の就活生からの相談に対応しているという。

 さらに現在でも、リクハラ防止策を強化せよという世論は強まっている。19年11月には、ハラスメント相談のウェブサイト運営会社「キュカ」のメンバーらが、厚生労働省に1万1333人分の署名を提出。同時に出した要望書では、就活生のハラスメント規制保護対象化や国主導の実態調査、相談窓口の設置などの対策強化を求めている。

 翌12月には東京大学などの女子学生による有志団体「SAY」が会見を開き、就活セクハラに関する緊急声明を発表した。女子学生たちは就活への支障を懸念して顔を隠しながらも、就活セクハラの生々しい実態を告白。実効性のある対策を企業や政府、大学に対して強く求めた。

 だが学生たちが必死の思いで訴えた要請に対して、政府は現状では特段何も対応をしていない。前述の通り、19年12月に政府が決定したパワハラ防止法の施行に向けた指針では、保護の対象に就活生は含まれていない。この指針の中には、企業が実施することが「望ましい」取り組みとして、リクハラの禁止の方針を策定・周知することや、相談があった際に対応することなどを定めるにとどまっている。