3.「いま起きていること」は
起こらなくてもよかった

 日本政府は、中国政府・人民が「国有化」にどう向き合い、処理しようとしているのかを見誤った。

「こんなに大きな反響を呼びおこすとは予想していなかった」というのが官邸や世論の認識であろう。実際、この数日、野田首相は各テレビ番組に出演し、予想外であったことを認めている。

 そして中国社会は、日本政府・国民が「国有化」にどう向き合い、処理しようとしているかを見誤った。

 私が一般の中国人民に話を聞いたところ、「国有化によって、日本は尖閣諸島に一方的に灯台を建てたり、自衛隊が駐在したりする」と思っている人がほとんどだった。

 現状が政策を生むのではない。現状に対する認識が政策を生むのだ。

 認識が誤認に変わっていくと、コミュニケーションは機能しなくなる。それどころか、コミュニケーションをすればするほど、蟻地獄に陥り、ジレンマは深まる。その結果何が起こるか? 一番良くて先送りにされる。最悪の事態は何か? 戦争が起きる。

 私は、野田首相が日本国内で使う「国有化」という言葉を、外交でもそのまま持ちだしてきたことは致命的、且つ避けられたミスハンドリングだと考えている。中国に対してだけではない。アメリカを含めた国際社会だって、ただ「国有化」(Nationalization)と言われても何が何だか分からない。「とにかく、ものすごくでかい、現状を一方的に変えてしまうような無謀なアクションに出た」という印象しか残らない。

 仮に私が首相だったら、官邸で対外的に記者会見を特別に開く。そして、ピンポイントで、こう発信する。