「七つのステップをすべて終えたら、一般的に“覚りをひらいた”といわれている状態に達するだろう。地球に輝きをあたえたごくひと握りの先人たちだけが、そのプロセスの最後まで到達したんだが、それもまさに変わろうとしている。わたしが教えようとしている目覚めのプロセスを知ったら、世界は一変するだろう」
「すばらしい見通しですね、ジュリアン」
「そのとおり。ただ、わたしが教えようとしているシステムは理解しやすいんだが、生活のなかに組み入れるときがひと苦労なんだ。誤解しないでもらいたい――ついていけないほどむずかしいシステムといってるわけじゃないんだ。じっさい、一部は信じられないくらい簡単さ。そのプロセスを学んで、第二の天性になるまで続けることに専念する必要がある」
「わかりました。で、目覚めの七段階とはなんなんですか?」と、わたしはきいた。
「ステップ1は、地球上のほとんどの人の現在の状態だ。無意識に人生をおくっている――いわば、いねむり運転している段階だな。この段階が“偽りの人生を生きる”として知られているのは、この発展の初期段階にいる人びとが、世の中の常とかそこでどう生きるかに関する偽りにとらわれているからなんだ。……ステップ1にいる人びとは、真理とつながっていないといえる。……いまきみが現実の世界として見ているものは、じつは幻想でしかないんだ」
「さっぱりわかりませんね、ジュリアン。わたしが見ている世界は、見ていると思っているものとちがうというのは、いったいどういう意味ですか?」
「きみが世の中をどう見ているかは、そう見るように教えられた結果なんだ。小さな子どものころから、きみはある種のことを信じるように訓練され、条件づけられている。たとえば、多数に順応して、ほかのみんなとおなじようにふるまえ、といわれている。うれしいときに大声で歌わず、やる気がわいてきてもあまり大きな夢を見るな、と教えられている。他人とちがう人は受け入れられない、順応が成功につながる、ということを学んでいる。……
はじめてきみと会ったときからずっとほのめかしているように、ステップ1は自分を裏切ることに関するすべてなんだ。われわれは完全なかたち――恐れを知らず、無限の可能性を秘め、純粋な愛に満ちた状態で生まれる。そして、群衆にうまく溶けこめないという不安のなかで、本来の姿を忘れはじめ、まわりの世界の意見、価値、行動を採り入れるようになる。……」